【ウソ?本当?】月経カップで子宮下垂(子宮脱)になる?BBCのニュースで騒然とした当時を振り返る【マニアの妖子】
こんばんは、妖子です。
「子宮下垂」。
この言葉、耳にしたことはあるでしょうか?
「月経カップが原因で、子宮下垂になる可能性がある」
と2020年にBBCが報じたことで、 諸外国のユーザーが騒然としました。
その当時、月経カップは日本での知名度が今以上に低かったので、日本ではニュースとして扱われることはなかったと思います。
今後、ユーザー数がもっと多くなれば、日本国内でもこうしたニュースが流れる可能性があります。
その時、皆さんには冷静に対応してもらいたいので、先回りして文章に残しておきます。
実は、だいぶ以前に動画にはしているので、動画の方が良いという人は合わせてご確認ください(倍速推奨)。
それでは、今日も元気にいこう!
倍速推奨
用語集はこちら!
子宮下垂とは?
出典:NHK健康ch
骨盤底筋(厳密に言うと、筋膜やじん帯)が弱ることで、本来骨盤底筋で支えられている子宮が下がって来ることを子宮下垂といいます。
今回は子宮下垂なので、子宮にフォーカスしていますが、直腸脱、膀胱脱などもあり、総称して骨盤臓器脱とも言います。
ひどい場合は、臓器が完全に膣口や肛門から出てしまい(膣から子宮が出ている状態は子宮脱と呼びます)、
歩行する度に擦れて痛むため、日常生活に支障が出ることもあります。
原因は、加齢、出産、力仕事、便秘でのいきみなどがあり、いずれも日常生活の行動に起因するものばかりです。
骨盤臓器脱は、ケアをしなければ誰もがなる可能性があり、特に出産経験のある人は気をつけなければなりません。
人生100年時代。
骨盤底筋体操や、膣トレが流行っているのには、きちんとワケがあるのです。
一般人の私たちは、ほぼ同義と考えて良さそうです。医学の上では、「膣トレ」とは言いません。一般人向けのカジュアルな言い方が「膣トレ」のような認識でしょう。
下がって来ているが、子宮口が膣内に留まっている状態
膣から子宮口が飛び出て、日常生活に支障がある状態
予防策は?
骨盤底筋は、鍛えることができます。
つまり、予防策は、
筋トレをすることです。
ただし、骨盤底筋はインナーマッスルと呼ばれる筋肉で、目で動きを確認したり、動かしている感覚を掴んだりするのが、なかなか難しいです。
トレーニング自体は難しくなく、むしろ、非常に地味なのですが、だからこそ、なかなか続かなかったり、手ごたえがなかったりします。
出産後、骨盤底筋の弱さを自覚する人は少なくなく、自己判断で腹筋運動をする人を見かけますが、
ポイントをおさえないと逆効果。
子宮下垂がある場合は、悪化することもあります。
試しに、何も意識せずに、腹筋運動をしてみてください。
膣が外に押し出される感覚がありませんか?
これが「逆効果」と言われるゆえんです。
「素人の、素人による、素人のための動画」をテーマに、視覚で捉えて行える膣トレの解説動画を作ってあります。
解説編と実践編がありますので、参考にして頂ければ嬉しいです。
その他、骨盤底筋運動や膣トレの方法は、ネット上に星の数ほどありますので、ご自身に合う方法を見つけてみてくださいね。
妖子が出会ったケース
私が月経カップ選びのお手伝いや、トラブル相談を受けていて多いのが、
産後の膣内の変化。
わかりやすいのが、産前に問題なく使っていた月経カップが漏れる、下がってくるというご相談。
変な言い方かもしれませんが、骨盤底筋の変化が体感できる貴重なケースかもしれません。
膣壁の弾力性の衰えなどもありますが、メインの原因として考えるのは、やはり
骨盤底筋の変化です。
「カップが下がってくる」という相談の場合は、要注意。
骨盤底筋が弱っていて、カップを支えられない可能性もありますが、
子宮口が下がって来ていて、カップが押し出されている可能性もあるのです。
産後の相談で、「子宮口の位置が低くなっていませんか?」と私に告げられた経産婦さんは、
検診の時に医師に相談・確認してもらったところ、子宮が下がって来ていると告げられたそうです。
この程度だと、子宮下垂の自覚はなく、日常生活に支障はありません。
ただし、人によっては、尿漏れなどの併発があるので、骨盤底筋が弱っているのがわかりやすくなります。
このように、誰もが経験する可能性がある疾患です。特に経産婦さんは要注意。
知識として、是非知っておいてください。
月経カップは原因になりうる?
さて、ここからが本題。
まず、月経カップが子宮下垂の「原因になる」科学的根拠は存在しません。
同時に、「原因ではない」とする科学的根拠もありません。
つまり、
原因になるかもしれないし、
ならないかもしれない。
BBCの記事にもある通り、「間違った」使い方が子宮下垂を促す可能性も、ゼロではないかもしれない。
だとしたら、私たちは何に気を付ける必要があるのでしょうか?
次の項目で見ていきましょう。
正しく使う
具体的に、ポイントは2つあります。
「密閉解除をすること」
「正しくいきむこと」
月経カップが膣の奥に吸い付いている感覚を、体験したことありませんか?
あの「密閉感」は、月経カップを漏れなく使うために、とても大事な機能なのですが、取り出しの時に密閉解除をするのがマストなのです。
密閉解除せずに、そのまま取り出そうとすると、膣の奥をバキュームしたまま、カップを剥がすことになります。
この過度な吸い付きが、子宮下垂になる、と考えられる原因です。
子宮下垂に関係なく、密閉解除をせずに取り出そうとすると、痛みや不快感があるので、必ず実施しましょう。
「取り出す時に激痛!」と言っている人は、だいたいこの密閉解除が出来ていないことが多いです。注意してくださいね!
そして、月経カップが子宮下垂に影響するのは、密閉よりも「いきみ」だと,
個人的には思っています。
冒頭にお話した、子宮下垂の一般的な原因を思い出してみましょう。
出産、力仕事、便秘でのいきみ・・・・。
「腹部を圧迫する」という点が、共通していますよね。
頭の血管が切れるくらい、いきんでも、カップは下がって来てくれません。
むしろ、必要以上に腹部を圧迫するので、良いことなし。
密閉解除や正しい、いきみ方に関しては、気合の入った動画があります。
概要欄に目次がありますので、該当箇所にスキップできます。ご活用ください。
体験談から考える
海外のサイトを見ていると、「月経カップで子宮下垂になった」という体験談はちょこちょこあります。
そして私のtiktokのコメントにも、体験談が日本語で寄せられたことがありますし、
Amazonのレビュー(日本語)でも見たことがあります。
ただ、残念ながら「因果関係はわからない」のが現状です。
そもそも子宮口の位置や高さは、サイクルに合わせて動いています。
そして、子宮口探しの難易度がなかなか高いことは、過去の記事や動画で、何度も触れてきました。
実際に、カップ歴はそれなりにあるけれど、子宮口はいまだに行方不明という人は結構います。
今まで子宮口に触れたことなかった人が、月経カップを使っている過程で、たまたま触れることがあったら、
「今まではこんなとこに子宮口はなかった → 月経カップで下がってきた!」と
考えるのは自然な流れだと思います。
もしくは、子宮口は普段から動いているので、カップを取り出した直後は、一時的に子宮口が下がることがあるかもしれません(完全に推測ですが)。
とはいえ、体験者の皆さんから、詳細な経緯を聞いたわけではないので、
本当に月経カップで下がってきた人もいるかもしれません。
「今まであんなに探して見つからなかったのに、こんなにすぐ見つかるなんて・・・下がってきたとしか思えない!」と力説されたら、
医療のプロではない私なんかは「そういうこともあるのかなぁ」となってしまいます。
ただ、月経カップが子宮下垂の原因のひとつだったとしても、
私自身はなんとも思いません。
注意して使うだけです。
私は低用量ピルを服用していますが、血栓のリスクを承知で飲んでいます。
飛行機の墜落事故はゼロではないけれど、海外旅行に行きます。
これらと、なんら変わりません。
どちらかというと、子宮下垂は、
日常生活で何気なく取っている行動が主な原因なので、そちらを注意するようにします。
月経カップは正しく使いながら、
自分の生活を見直す&膣トレをする。
リスクを理解して、それを避けるための行動を取ることが、最も大事だと思います。
ただ、問題なのは「密閉解除」や「いきみ方」を含め、正しい使い方が十分レクチャーされないことや、
間違った使い方をした時のリスクが、周知されないことです。
月経カップのリスクで代表的なのはTSS。
その他、迷走神経反射や、断定できないとはいえ、子宮下垂やミレーナの脱出などがあります。
tiktokにコメントを下さった人も、密閉解除を一切やらずに取り出していたと言っていました。
ひとまず、説明書は一通り読んでおくことをオススメします!
そして、万が一それらしい症状が見られた時は、無理にカップを使うのは辞めましょう。
実際に体験した人達は、使用を中止しているのが一般的です。
代わりに月経ディスクを検討するのもあり!
まとめ
いかがでしたか?
子宮下垂と月経カップに関して、理解は深まりましたでしょうか?
月経カップは世界的にもまだまだマイナーな生理用品なので、この先も目立った研究はされない可能性が高いです。
この子宮下垂に関しても例外ではありません。
つまり、
真実は永久にわからずじまいということ。
でも、真偽がわからないとはいえ、体験談が出てきている以上、ユーザーである私達は気を付けるに越したことありません。
体験談をシェアしてくれた同士に感謝をして、正しく使いましょう。
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